“これは将来のための治療” 週1回の注射で旅行も気軽になりました
(Aさん(仮名)9歳 とお母さん)
成長ホルモン分泌不全性低身長症
主治医:小川 哲先生
大阪府済生会吹田病院 小児科科長 兼 新生児科科長(部長)
掲載記事の内容は、1人の患者さん・ご家族の体験談であり、
すべての患者さんに同じ効果を示すわけではありません。
お母さん:家族構成は主人と、20歳の長女と、9歳の次女と私の4人です。成長ホルモン治療を受けているのは9歳の次女です。次女は出産の時にとても時間がかかってしまい、その際に担当の小川先生から「いくつかの病気のリスクがあるかもしれません」と説明を受けました。1歳半の頃に市の健診で「身長も体重も平均より小さめですね」と指摘され、その後の3歳児健診でも「成長曲線から外れていますね」と言われました。それを受けて、入院して検査をすることになりました。
お母さん:主人が子どもの頃に成長ホルモン治療を受けていたので、「もしかしたら娘にも遺伝しているかもしれない」と心の準備はしていました。私自身は、「将来あまり身長が低いと服選びなどで困るかもしれない」と思い、治療を始めることに迷いはありませんでした。嫌な気持ちも特にありませんでした。
お母さん:診断がついて治療ができると分かったときはすごくほっとしました。娘は「何するの?何するの?」と不安そうで、「注射だよ」と伝えると「嫌だー!」と言っていました。
お母さん:最初は注射を嫌がっていたので、「これを頑張ったら絵本が買えるよ」「ぬいぐるみが買えるよ」と声をかけていました。でもそれを毎日続けるのは難しいので、2週間ほど経ってから、「やらないといけないことはやらないといけない」と子どもにしっかり伝えました。
「これはあなたの将来のための治療なんだよ」とはっきり説明しました。本人が納得して頑張ろうと思えないと続けられないと思ったので、私はしっかり娘に話しました。
時間が経つにつれて、周りのお母さんやご近所さんから「背が高くなったね」と言われるのがとても嬉しかったです。
お母さん:旅行の時は少し大変でした。私たちはよくキャンプをするのですが、先生に相談したところ、週6日注射だったので「その日は注射を休む日にしてもいいですよ」と言われました。
なのでキャンプの時は注射を持っていきませんでした。
ホテルや旅館に泊まる時は、保冷バッグで薬を持っていき、到着後すぐに冷蔵庫に入れるようにしていました。正直、その準備は少し面倒でした。
お母さん:子どもにとっては毎日注射するのと週1回だけ注射するのでは負担が全然違うと思います。
旅行に行く時も、めちゃめちゃ楽になりました。先生が「旅行の時は注射する曜日が前後してもいいよ」って言われていたので1泊の旅行ならもう注射を持っていかなくてよくなりました。
お母さん:低身長が遺伝的なものなのか本当に病気で治療しないといけないのかが、はっきり分かっていない人も多いと思います。こういった疾患もあるということを、保護者の方々にもっと広めていってもらえたらなと思います。
また、私としては、毎日の注射から週1回に変わったことで本当にありがたく感じています。このような製剤を開発していただいて感謝の気持ちでいっぱいです。
週に1回の投与になっても、注射の怖さとの戦いは続いています。いつも歯を食いしばって頑張っている姿に先生は本当に頭が下がります。最近は身体だけでなく心も大きくなってきたと感じています。いつの日か負担を感じないお薬ができたら良いね。
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