患者さんの声(5)

最初は不安だったけれど、今では自分で注射しています

(ゆいとくん(仮名) 中学校3年生(14歳)とお母さん)
ヌーナン症候群
主治医:村上 信行先生
獨協医科大学埼玉医療センター 小児科

掲載記事の内容は、1人の患者さん・ご家族の体験談であり、
すべての患者さんに同じ効果を示すわけではありません。

お子さんが成長ホルモン治療を始めたきっかけは?

お母さん:毎年春の健康診断で低身長を指摘されていて、その都度かかりつけ医で相談しましたが、私も夫も身長が低いので、様子を見る時期が続いていました。
その後、ゆいとが小学校6年生の夏に喘息の治療で村上先生にお世話になったことがきっかけで、ヌーナン症候群の低身長に成長ホルモン治療ができるようになったことを知りました。村上先生からは、治療で多少の伸びが期待できることを教えていただきました。

成長ホルモン治療は家庭で注射する治療ですが、その点はどう思いましたか?

お母さん:私は看護助手をしていたので、糖尿病のインスリン注射と同じだと思い、抵抗はありませんでした。本人は「えーっ、注射を毎日?」という感じでしたが、「身長は『伸びる時期』が限られていて、後から治療を始めても間に合わないかもしれない」と話しました。本人は不安だったと思いますが、大きな決断をしたと思います。

 

ゆいとくん:毎日、家で注射するのは怖いし、痛いのではないかなと不安でした。でも、クラスの友だちの身長は170cm近いので、今始めなければと思いました。

ゆいとくんに注射するのはどなたですか?

お母さん:中学校1年生の12月に治療を始めたころは私が注射していましたが、今では自分でも注射できるようになりました。本人が消毒までの準備をしてから、その後の注射は私がすることもあります。

注射のやり方はすぐにわかりましたか?

ゆいとくん:徐々に練習し、2年生になる前くらいから1人でも注射できるようになりました。夜、お風呂に入った後に、左右の太ももに毎日交互に注射しています。落ち着いてできるように、注射の時は家族もまわりを通らないようにしてくれます。

 

お母さん:一連の操作は、取り扱い方法のDVDを2~3回見て、冊子を参考にすれば、中学生にはそれほど難しくないようです。

治療を始めてから、変わったことはありますか?

ゆいとくん:相手と話すときの目線が変わりましたし、制服を掛けているところにも、ジャンプしなくても届くようになりました。

 

お母さん:治療を始めてから身長は私を追い越しました。低身長のことで親として心が痛むときもありましたが、今は嬉しく思っています。希望が見えた気がします。

今後、チャレンジしてみたいことはありますか?

ゆいとくん:バレーボールが好きだから、高校に行ったらバレーボール部に入りたいです。
スパイクが決まると気持ちよさそうなので、自分もスパイクやサーブを決めたいです。

読者のみなさんに一言お願いします。

お母さん:大人になってからでも成長ホルモン治療の効果があるなら、「受験が終わってから始めよう」と思ったでしょう。でも、身長が伸びる期間は限られているということなので、成長ホルモン治療の対象であるなら、早めにスタートしてこつこつ続けるのがよいと思います。

 

ゆいとくん:医療が発達したのはすごくうれしい。治療の対象になる人は治療をした方がいいと思いますし、続けてほしいです。

先生からのメッセージ

ゆいとくんが外来に来られたのは12歳の時でした。その後まもなくこの疾患への成長ホルモン療法が開始されることとなり、すぐに治療を開始することができました。ゆいとくんと家族の方の頑張りで身長の伸びがみられています。大きくなってバレーボールをやって欲しいです。

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