患者さんの声(1)

毎日普通に学校に通えて友達と過ごせるのが幸せ
(仮名 Mさん(中3)とお母さんのYさん)
主治医(当時):安達 昌功先生
神奈川県立こども医療センター

-脳腫瘍を発症したときのことを教えてください。

Mさん:私は小学1年生のときに頭葢咽頭腫という脳腫瘍を発症しました。頭痛と吐き気がひどかったので病院で診てもらったのですが、症状を話しても、風邪と言われて風邪薬を飲んでいました。でも全然よくならなくて、3カ所目の病院で紹介された大学病院で検査をしてもらいました。その帰り道、車を運転していたお母さんが泣いていたのを今でもはっきりと覚えています。その日、家に帰っても頭痛がひどくて、病院に救急車で運ばれ、そのまま入院することになりました。頭にボルトを付けている子や見たこともない器械を付けている赤ちゃんがいたりして、最初はすごく怖かったです。何度も手術をしましたが、周りの子ががんばっているのを見て、私も勇気づけられて、手術を乗り越えることができました。

-手術後、現在までどのような治療をしてきたのでしょうか? 成長ホルモン治療を始めるにあたって不安に思ったことは?

Mさん:下垂体を摘出したので、下垂体で作られるすべてのホルモンを補充しています。幸い、視野の障害はありません。成長ホルモンは手術後1年3カ月ほど経った頃から始めましたが、最初は注射をするときにどれくらい痛いのかわからなくて不安でしたが、今はほとんど痛みを感じないので不安はなくなりました。小学生のときはずっとお母さんに注射をしてもらっていましたが、1回自分で注射してみたら簡単にできたので、中学生になってからは自分で寝る直前に注射をしています。

-成長ホルモン治療を始めて変わったと感じるところはありますか? またそれ以外の治療で苦労されたことは?

Mさん:病院で3カ月に1度、身長を測っていますが、毎回1~2cmずつ伸びているので、それは成長ホルモン治療のおかげだと思います。今、身長は163cmです。以前は1日に0.7mgでしたが、今は代謝のために0.3mgを注射しています。下垂体を摘出したため尿崩症(抗利尿ホルモン分泌異常症)になりました。そのため外出するときはいつもお茶と尿崩症の薬を持参しています。授業中はお茶を飲めないので、特に夏は水分の調節に苦労しています。

-お使いの成長ホルモン製剤については?

Mさん:以前使っていた薬は本体があって製剤を付け替えるタイプでした。そのつどアルコール消毒をして付け替えなければいけないので面倒でしたが、いま使っている成長ホルモンは使い切りタイプで手間も時間もかからないのでとても便利です。今、自分で注射できるのもこのおかげです。携帯にも便利で外出先で万一、置き忘れても家に予備があるという安心感もあります。

-小児脳腫瘍の会の親睦会に参加した感想は?

Mさん:私が通っている中学校には私と同じ病気の子は一人もいないので、親睦会などで同じ病気の子との交流は辛いことなんかを共感し合えて私の力強い味方になってくれるのがうれしいです。キャンプで泊ったときも子どもだけ同じ部屋で寝ました。みんな同じような薬を使っているし、親がいなくてもなんの心配もなく楽しく過ごせてよかったです。

-今、中学校で生徒会の副会長をしているそうですが、将来の夢は?

Mさん:発症したときは不安だらけの毎日でしたが、今は病気のことを気にしないで日常生活を送れて楽しい思いでいっぱいです。病気になったときは勉強が遅れるのが嫌で、学校を休むのも嫌で仕方がなかったのですが、今は体調もよく毎日普通に学校に通えて、友だちと楽しく話したりできているので、幸せです。
将来の夢は、入院していたときの看護師さんがとてもやさしく、おもしろい人で憧れていたので、看護師になりたいと思いました。でも私は患者さんの痛々しい姿を見たり、血を見たりするのが苦手なので、今は院内学級の先生もいいなと思っています。

JP20NP00011

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